以前から緊迫状況が続いていたロシアとウクライナ。
2022年2月24日にロシアがウクライナに対して特別軍事作戦をしかけましたが、ロシアがウクライナを狙う理由は何なのでしょうか。
大きな理由として挙げられるのが、ウクライナのNATO加盟阻止です。
この記事では、ロシアがウクライナを狙う理由をまとめてご紹介します。
ロシアがウクライナを狙う理由2つ!
1991年、ソビエト連邦の崩壊により独立したウクライナ。
それから30年以上経った今、ロシアがウクライナに特別軍事作戦をしかける理由として次の2つが考えられます。
- ウクライナのNATO加盟阻止
- ウクライナ首都・キエフがロシアのルーツ
その中でも特に大きな理由となっているのが、「ウクライナのNATO加盟阻止」でしょう。
それぞれ解説していきます。
ロシアがウクライナを狙う理由①ウクライナのNATO加盟阻止
ロシアがウクライナを狙う大きな理由といえるのが、ウクライナのNATO加盟阻止です。
NATO(北大西洋条約機構)はヨーロッパ諸国やアメリカなどの計30ヶ国が加盟している国際機関です。
政治的・軍事的に加盟国を保護することを目的とし、
- パートナーシップの構築
- 新たな脅威への対応
- 平和と安全性を構築
をしており、日本はグローバル・パートナー国として名を連ねています。
発足当初は加盟国が12ヶ国だったNATOは徐々に加盟国を増やし、1990年後半以降は
- ポーランドやチェコなどの東ヨーロッパ
- 旧ソ連のバルト三国(エストニア、ラトビア、リトアニア)
などの国々もNATOに加盟しています。
NATOが東方に拡大している状況を受けて、ロシアは自国の安全保障が脅かされるのではないかと恐れているのです。
※薄緑色の塗りつぶし:1990年以前にNATOに加盟した国
濃緑色の塗りつぶし:1990年代以降にNATOに加盟した国
地図を見ると一目瞭然ですが、ロシアが超大国としての存在感を示していた1990年以前は、NATO加盟国はヨーロッパの一部の国にとどまっていました。
ですが、旧ソ連の崩壊により暗黒時代を迎えた1990年代以降、ソ連から独立したバルト三国などもNATOに加盟したことで、ロシアのすぐ側までNATOが迫ることになったのです。
そのため、ロシアとしてはこれ以上のNATOの東方拡大を阻止したいのです。
実際、ロシアは既にベラルーシに対しての弾圧を強めています。
NATOはウクライナの加盟に慎重な姿勢
ロシアの思惑と反対にウクライナはNATO加盟に向けて働きかけています。
ですが、NATOへの加盟は叶っていません。
ウクライナのゼレンスキー大統領は19日、ドイツで行われているミュンヘン安全保障会議で演説し、ロシアの軍事的脅威を強調した。同時に、ウクライナを守る欧米の決意も不明確だと批判。ウクライナの欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)加盟を認めるかの「回答」を求めた。
(引用:JIJI.COM)
上記は2022年2月時点の内容です。
早くにNATOがウクライナの加盟を認めていれば、ロシアのウクライナへの攻撃が始まらなかったのではとも思わずにいられません。
ですが、ウクライナのNATO加盟を認めると、NATOの東方拡大に対してピリついているロシアをより刺激することを危惧して進んでいないようです。
NATOは加盟申請について「常に門戸は開かれている」との立場です。ただ実際は、ロシアを刺激したくないため、陸続きのフランスやドイツは特に加盟に慎重です。
(引用:東京新聞)
平和と安全を目指すためのNATOですが、平和と安全を考えるがゆえに加盟に慎重になるとは皮肉なものです・・・
ロシアは大国復活を目指している
また、ロシアがウクライナへ特別軍事作戦をしかけた背景には、自国の安全保障を守るために加えて、大国ロシアを復活させたいという思いもあるのではないでしょうか。
ロシアは1721年に帝国となって以降、1917年のロシア革命によって超大国になり、1980年代までは、アメリカに並ぶ二大超大国として世界的に大きな力を持っていたのです。
(当時はソビエト連邦)
ですが、
- ソ連共産党による一党独裁
- 原油価格下落による経済状況の悪化
- アメリカとの軍拡競争
など様々な理由が合わさり、1991年にソビエト連邦は崩壊。
崩壊した1990年代はロシアにとって暗黒時代ともいえ、大国ロシアとして少なからず屈辱感を抱いたことでしょう。
プーチン大統領は大学卒業後、1975年にソ連国家保安委員会(KGB)に就職した後、1990年にKGBに辞表を提出し、本格的に政界に進出しています。
超大国時代からの暗黒時代を経験しているプーチン大統領ですので、大国ロシアを復活させたいという思いがあるのではないでしょうか。
大国ロシアを復活させるにあたって、アメリカを含む30ヶ国が加盟しているNATOの拡大は見過ごせません。
ウクライナへの特別軍事作戦はロシアとしての存在感を世界中に示し、大国ロシアとしての復活に向けての一手なのかもしれません。
なお、特別軍事作戦を決行したプーチン大統領には、パーキンソン病など健康に問題があるのではと疑われています。
プーチン大統領がパーキンソン病を疑われる理由!手足の震えや認知症状も!
ロシアがウクライナを狙う理由②首都・キエフがロシアのルーツ
ウクライナの首都・キエフがロシアのルーツであることも、ロシアがウクライナを狙う理由に挙げられそうです。
ロシアといえば、首都・モスクワのイメージが強いのではないでしょうか。
ですが、そのルーツをたどると現在のウクライナ・キエフにあるのです。
ロシア人はウクライナ人、ベラルーシ人と同じ東スラヴ人に属する民族。
東スラヴ人は9~13世紀頃にかけて、”ルーシ”と言われた現在のウクライナの首都・キエフにキエフ大公国の中枢をおいていました。
キエフ大公国はいくつかの公国の連合です。
キエフ大公国が崩壊・分裂した後、その地域の一部を支配していたモスクワ大公国が今のロシアになるのです。
このように、ロシア人にとってウクライナはルーツそのもの。
ソ連崩壊によりウクライナは独立国家となりましたが、ロシアからすると自分たちのルーツを取り戻したいと思っているのかもしれません。
ロシアのウクライナへの攻撃によって民間人の犠牲者も出ているようですので、平和的な解決がされることを願います。