2022年3月4日に開催された北京パラリンピックの開会式。
ロシアのウクライナに対して特別軍事作戦を決行している中、国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長のスピーチが注目を集めています!
スピーチの締めくくりには平和を表す「Peace(ピース)!」という言葉を力強く発したのが印象的でした。
この記事では、パーソンズ会長の開会式でのスピーチ全文をご紹介します。
(※同時通訳の内容を書き起こしています。)
北京パラリンピック|パーソンズ会長の開会式スピーチ全文!
以下、北京パラリンピック2022開会式でのパーソンズ会長のスピーチ内容です。
開会式スピーチ内容
習近平中華人民共和国国家主席、蔡奇組織委員会会長、全世界のスポーツファンの皆様、各国地域代表のアスリート、ならびに役員の皆様、ご来賓の皆様
こんばんは、そして北京2022パラリンピック冬季大会へようこそ。
今夜は、まず平和のメッセージから始めたい、いえ、始めなければなりません。
共生を中核とし、多様性を祝い、違いを受け入れることを旨とする組織のリーダーとして、私は今、世界で起きていることに強い衝撃を受けています。
21世紀は対話と外交の時代のはずです!
戦争と憎しみの時代ではありません。
オリンピック・パラリンピック期間中の休戦は、国連決議として193の国連加盟国の総意で第76回国連総会で採択されました。
それは尊重し、守られるべきもので違反があってはなりません。
IPCではよりよい、皆が共生できる世界、差別や憎しみ、無知とは無縁の紛争のない世界を目指しています。
ここ北京にはパラアスリート達が46の国や地域から集まり、互いに競い合います。
戦うのでありません。
スポーツを通して彼等は人類で最高の姿を示し、平和や皆が共生する世界の基礎となる価値観を際立たせてくれるでしょう。
パラリンピアン達は知っています。
対戦相手は敵である必要はないこと、共に歩めばさらにより多くのことを達成できることを。
今夜、パラリンピックムーブメントは世界各国の当局者に呼び掛けます。
アスリート達同様、一つになり、平和、理解、共生を促してください。
世界は共に生きるべき場であるべきです。
分断されてはなりません。
変化はスポーツから始まります。
それは調和をもたらし、またそれがきっかけとなって人々の生き方、街、そして国をも変えることができます。
史上初の夏季冬季の両パラリンピックの舞台となる北京はその証です。
大会前、何十万もの施設がバリアフリー化されました。
会場は壮大であり、組織運営は際立っています。
新型コロナ対策も万全、かつ効率的です。
中国国民のおもてなしの精神により、最高のパラリンピック、ウィンタースポーツの披露の場ができました。
さらに障害のある人々にウィンタースポーツを体験する機会も提供され、素晴らしいです。
中国国民の皆さん、谢谢(ありがとう)!
パラリンピアンの皆さんがスポーツを糧に障害を生きられた瞬間がありました。
障害によって否定されることなく、自分の一部とし、そこに自らの強みを見出したのです。
弱さと見られがちな障害に力を見出し、自分の可能性を最大限に発揮しています。
世界人口の15%が障害のある人々ならば、パラリンピアンは残り85%の人々に障害のある人々がどんな望みでも機会さえ与えられれば叶えられることをみせています。
それ故にIPCと国際障害同盟の指導の下、「We The 15」キャンペーンが立ち上げられ、18の国際機関連合とともに歩んでいます。
「We The 15」は障害の可視化、アクセシビリティ、共生と平等の権利のためのキャンペーンです。
世界の12億の障害のある人々は人生を謳歌し、夢を追い、紆余曲折と生き抜き、社会貢献する機会を同様に持つべきです。
人類そして一人ひとりがそのような変化を約束し、このような機会を保障すべきです。
最後に、パラアスリートの皆さん、本大会のための準備、とりわけパンデミック下においては決して容易ではなかったと思います。
皆さんが決意の意味を示し、忍耐を体現しています。
自ら成し遂げたことを喜び、自分の力で世界を変えられる、変えることを誇りを思ってください。
どうかフェアプレイの元、楽しんでください。
皆さんの検討を祈ります。
谢谢(ありがとう/中国語)、
Thank you very much(ありがとう/英語)、
Muito Obrigado(ありがとう/ポルトガル語)、
Peace!!(平和を)
パーソンズ会長の開会式スピーチの反響
文面だけでは100%お伝えすることが難しいですが、パーソンズ会長は抑揚があり、とても力強いスピーチをされていました。
このスピーチを聞いた方からは、
よく言ってくれた!
私たちの思いを代弁してくれた!
涙が出てきた!
と絶賛の声!!
ロシアとの結びつきが強いと言われる中国でのスピーチですが、ウクライナへの攻撃についてもしっかり触れてくれたことにグッとくるものがありました。
また、「校長先生」との揶揄されるバッハ会長のスピーチと比べて、人の心を引きつけ、語り掛ける話し方が良かったです。
約7分間のスピーチ時間でしたが、”長い”とは感じませんでした。
パーソンズ会長の開会式スピーチはあの国に届いたのか?
気になるのが、力強く気持ちのこもったパーソンズ会長のスピーチは、ロシアや中国などに届いたのかです。
是非とも届いて欲しいものですが、中国では反戦を訴えた部分は通訳されなかったとのこと。
「やっぱり」と思うとともに、
放送しない=ロシアよりの立場
ということを自ら示してしまったようにも感じてしまいます・・・
しかも通訳されなかっただけではなく、反戦を訴えている部分の音声が無音になっていたとのこと。
演説の途中から中継画面には会長のコメントを翻訳する文章が掲載されず、一部では無音となる場面も頻発したという。
(引用:Yahoo!ニュース)
中国版Twitterの「ウェイボー」では、単なる放送事故ではない何かがあると勘づいている人もいる様子です。
また、当事者ではない中国でさえ、反戦を訴えた部分を通訳していない・無音ということは、ロシアでも通訳されていない・無音の可能性が高そうです。
むしろ「中立」での出場も認められなかったため、北京パラリンピック開会式の中継が放送されなかったかもしれません。
ロシア、特にプーチン大統領にパーソンズ会長のスピーチが届いてくれたことを願いたいです。
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